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大人版「社会科見学」を体験 大田市場・大森昼さんぽコース

#品川区#大田区#庭園・公園#博物館・美術館
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コース概要

市場・地元名産品調べなどの「社会科見学」は、誰しも一度は経験があるはず。今回は、大田区・品川区の大人版「社会科見学」を体験。早朝の大田市場・海苔のふるさと館・大森貝塚を徒歩で巡ります。距離があるコースですが、それは全て、最後の「昼から一杯♪」に向けた準備運動と思って、是非歩いてみてください。

【所要時間:約7時間】
【お勧めの曜日:日曜・祝日以外。但し、別途市場休場日があるため、大田市場HPで「休開市日カレンダー」を要確認】

SCHEDULE

コース詳細

6:45 | A:大田市場へ到着 青果棟・水産棟を見学 歩き疲れてお腹ペコペコ

青果・水産・花きを取り扱う総合市場として1989年にオープン。日本最大級の敷地面積で、その大きさは東京ドーム8.5個分。特に青果・花き部は日本最大の規模で、大田市場での決定価格は日本全国の市場の指標となっている。大田市場は、建物上部にある見学コースから誰でも見学可(市場の中に降りるのはNG)。せりの様子も見学したい場合はそれぞれの時間帯(後述)に間に合おう。

4時半起きで眠い目をこすりつつ、品川駅からバスに揺られ、6時45分に到着。既に魚のせりは終わり、野菜のせりが始まったころ。市場の中は、既にたくさんの人・トラック・ターレット(※1)が行きかっており、活気たっぷり。せりは、手やり(※2)と呼ばれるハンドサインで売買するので、想像よりはずっと静か。広い市場内を、看板の説明文を読みながらぐるぐると回る。ここまでで既に45分経過。朝が早かったので朝食は抜いてきた。この後の朝食が楽しみ。

(※1)円筒状の動力部が前方に付いた3輪の運搬車。市場等で使用される
(※2)せりの時、買い手が購入したい品物の値段や数量を指で示すこと。「せり人」は大勢の買い手の指のサインを見定めて、一番高い値段を示した人を指名して「せり落とし人」とする

朝6時45分、ようやく到着。ターレットがバンバン通っている。結構スピードが速いので、ボーっと歩くのは厳禁。
7時頃の青果棟。下ではセリの最中。売買が成立すると、小さな箱をそっと業者の棚に移す。高そうな印象…時期的に松茸かな?
見学ルートには、たくさんの看板のほか、足元にも矢印が書いてある。迷わないので安心して回ろう。
水産棟。仲卸業者は、せりで落とした品物を市場内の店舗に並べ、小売業者に販売。新鮮そう!一般見学者は購入不可なのが残念。
住所東京都大田区東海3-2-1 Googleマップ
TEL03-3641-0660
見学時間5時~15時
<競りを見学できる時間帯>
 ・魚 :午前5時40分から
 ・野菜:午前6時50分から
 ・果物/花き:午前7時から
定休日日曜・祝日のほかにも休場日あり。HPで「休開市日カレンダー」を要確認

7:30 | B:味の店双葉でようやく朝食 あじの美味しさに仰天

青果棟・水産棟の間にある関連棟には、軍手・発泡スチロールなどの市場必需品のほか、市場に来た人のための飲食店が軒を連ねている。そのうちの一つ「味の店双葉」の「生のあじフライ定食」の言葉が気になり入店。入るとすぐにお店のお母さんが「何にする?」と定食メニューを差し入れてくれる。「なんの定食にしようか?」の会話のそばから「定食!ご飯とお味噌汁準備よろしく!」と厨房に注文が入り、どんどんサイドメニューが並んでいく。「あじのお刺身定食」も注文するとこちらも数分で提供。さすが、市場の中の食堂のスピード。

あじのお刺身は臭みが全くなく美味しい。身も厚く、朝から大変贅沢な気分になる。生のあじフライも実食。衣のパン粉が大きくザクザク、中のあじがふわっふわ、分厚くて大変美味。お母さんに「生の、ってどういう意味ですか?」と聞くと、「隣の水産棟で今朝仕入れてきてすぐ捌いているので、一度も冷凍していないってこと。一度でも冷凍するとペシャンコになっちゃうでしょ?」と教えてもらえた。だから臭みがなくてふわふわなのか!納得。

味のある店構え。1960年創業の老舗。
5人ほど座れるカウンターと、4人座りの机3つほどの小さなお店。上には美味しそうな一品がメニューがずらり。じゅるり。
生のあじフライ定食。まさにふわっふわの食感。美味しい魚のフライの絶対条件。しかも2枚。朝から幸せ。赤だしの味噌汁も良い。
あじのお刺身定食。あじの量が多くコスパ抜群。米にうるさいなおごんず(夫)が「白ご飯が美味しくてびっくり」と評価。
住所東京都大田区東海3丁目2-7  Googleマップ
TEL03-5492-2882
営業時間5時30分~14時30分
定休日市場定休日と同じ

12:10 | C:大田市場 花き棟に移動 日本で初めて導入した「機械せり」見学

一旦大田市場の正門を出て西へ。首都高湾岸線をくぐった先の花き棟へ向かう。見学コースはオークションルームを除く2階部分。青果棟・水産棟より見学できる距離は短めだが、こちらでは「機械せり」を見学することができる。まず、せり人が販売価格をコンピュータに入力。すると大画面スクリーンに、花の商品名・生産者名・色・商品画像が表示され、花屋や仲卸業者が機械を使って落としたい金額を入力。一番高い金額を入力した人が花を買えるしくみ。大田市場では「せり下げ方式」と言って、せり人が初期設定した適正な価格から金額を下げていく方法をとっている。

機械せりの方法の採用のせいか、花を扱っているからなのか、青果棟・水産棟と比較すると、ガヤガヤしていない印象を受ける。女性の業者も多い気がする。

玄関棟から、隣の花き棟へ渡る
建物一杯に花!木!段ボールが少ないのは、野菜のように密封して運搬しないからなのか。
機械せりの様子。業者が、手元のボタンで落としたい金額を入力。せり人が設定した金額からぐーんと下がっていく様子は見ていて面白い。
住所東京都大田区東海 2-2-1 Googleマップ

12:40 | D:大森 海苔のふるさと館で海苔づくりの大変さを学ぶ

日本の海苔産業の基盤が築かれた江戸時代、将軍家に新鮮な海苔を献上するため、品川大森を中心とする東京湾で海苔の養殖が始まり、市場にも流通量が増えたことから海苔は江戸の特産品として庶民に親しまれるようになる。浅草海苔や海苔巻きが登場したのもこの頃。明治時代以降は全国で海苔づくりが行われるようになるが、それでも大森の海苔は質量共に全国に誇っていた。

その後、東京都の沿岸部埋め立て計画に応じるため、昭和38年に大森での海苔生産を中止。ただ、江戸時代からの伝統を後世に伝えるため、平成20年「大森 海苔のふるさと館」を開館。国の重要有形民俗文化財指定の「大森および周辺地域の海苔生産用具」の展示紹介のほか、海苔づくりの伝統手法を体験できる施設となった。

1階エントランスには昭和33年に造船された海苔船がドンと置かれており、その前に座ると動画が流れ、海苔づくりの1年についてわかりやすく学べる。2階には多くの海苔生産用具が展示され、体験コーナーもある。訪問した平日昼間も、地元中学生が体験に来ていた。子どもたちの「大森海苔愛」を育む施設なのだろう。

平和の森公園の端に、海苔の缶っぽい黒い建物を発見
おじいちゃんが孫に海苔とりの作業の大変さを教えるやりとりが自動音声で流れる。寒い冬の海での作業はとりわけ大変そうだ。
大森の海苔は、その品質の良さから将軍家や大名家への贈り物となり、「御膳海苔」「本場海苔」と呼ばれていた。
住所東京都大田区平和の森公園2-2  Googleマップ
TEL03-5471-0333
営業時間9:00~17:00(1月〜5月 9月〜12月)
9:00~19:00(6月〜8月)
定休日第三月曜日(第三月曜日が祝日の場合は翌日休館)
年末年始(12月29日〜1月3日)
※臨時休館あり

13:40 | E:金子海苔店で絶品海苔を購入

「大森 海苔のふるさと館」の受付のお姉さんにお勧めの海苔問屋を聞いたところ、こちらを教えてくれた。1866(慶応2)年創業の老舗。二代目のときに、お客様にお届けする直前に海苔を焼いてからお届けすることを始め、元祖「焼き海苔」の発祥といえる。焼き海苔、乾海苔販売に尽力して現在の当主は五代目。昭和25年に築地市場外にも支店を構え、今では有名寿司店からの注文も入る名店。

お店のお姉さんにお勧めの海苔を聞くと、どんな用途が多い?どの頻度で?味の好みは?それならこんな海苔がお勧め、と色々とレクチャーをしてくれる。一旦開けたらすぐ食べないと湿気てしまうからどうしよう、と迷っていると、忙しい朝にも手軽にさっと食べられて便利な、缶入り8切タイプをお勧めされた。なるほどー。早速明日の朝から頂こう。

1865(慶応元)年に海苔の初めての入札市が行われた。1866(慶応2)年創業ということは、海苔問屋の中では相当の老舗。
用途にあったお勧めの海苔をレクチャーしていただける
迷いに迷って「青い花」を購入。ポップなパッケージが写真映えする。贈答用でもOKだが、自宅用にしても、気分が上がる。
住所東京都大田区大森東 2-24-6 Googleマップ
TEL0120-013-074
営業時間9:00~17:00
定休日日曜日・祝日

14:20 | F:「大田区の」大森貝塚を見学

1877(明治10)年に発掘・発見された、縄文時代後期~末期の貝塚。貝塚とは、大昔のゴミ捨て場のこと。貝以外にも獣骨・土器・石器など様々なものが見つかり、文字がなかった頃の社会を研究するうえで重要視されている、と日本の歴史の教科書の最初の方に書かれている。アメリカ人の動物学者エドワード・S・モースが、横浜から新橋に列車で向かう途中、大森駅を過ぎたすぐの崖に貝殻が積み重なっているのを窓から発見し、発掘調査。土器、骨器、獣骨などを発見(これら出土品は東大に保管中)。1955(昭和30)年に国の史跡に、1975(昭和50)年に国の重要文化財に指定。

大森駅から徒歩5分程度のところに「国史跡 大森貝塚」がある。近隣の会社によってきちんと整備された貝塚は、驚くほど電車との距離が近いところにある。是非訪ねてみよう。

この「大森貝塚」、実は品川区にも存在する(品川区の様子は次の章参照)。品川区側は、右から横書きの「大森貝塚」碑を1929(昭和4)年に建立、大田区側は、縦書きの「大森貝墟」碑を1930(昭和5)年に相次いで建立。発見者のモースが論文に発掘場所の詳細を書かなかったため、長らく「どちらが本物の発掘場所か」という議論になっていた。

しかし、1984(昭和59)年までの調査により、東京府が大井村字鹿島谷(現在の品川区大井6丁目)の土地所有者に調査の補償金50円を支払った文書が発見されたこと、品川区の貝塚碑周辺の再発掘で貝層が確認された一方で、大田区の貝墟碑周辺では見つからなかったことから、現在ではモースが調査したのは品川区側であったことがわかっている。モースさん、しっかり書いておいてよ~。

池上通り沿いにある石碑は2分の1寸法のレプリカ。すぐ左に見える階段を下り、実物を見に行こう。
「大森貝墟」と書かれた石碑。写真を撮っていると、すぐ後ろを京浜東北線が通る。
大田区が作った大森貝塚入口の看板の下に「国史跡大森貝塚は品川区にもあります」?両区の事情を知らないと困惑しそう。
住所東京都大田区山王1丁目3 Googleマップ
見学時間9:00~17:00

14:25 | G:「品川区の」大森貝塚を見学 こちらは遺跡庭園

平成8年開園。貝塚発見の跡や大森貝塚碑、モース博士の胸像、貝層の剥離標本などがある。先ほども触れたが、こちらが本当の貝塚発掘場所。公園内の建物には、縄文をイメージしたデザインが施されている。園内トイレにまで、縄目っぽいデザインが。ご自身の目で確認してみて。

大田区・品川区の小学生が勉強する「社会科見学」はここまで。あとは、お疲れ様会の会場へ向かおう。最後のスポットまで、2.4km、30分のラストさんぽ!

縄文の広場。開園時間内の1時間に2回ミスト噴水がある。真夏には大変涼しく、有難いシステム。真冬もやるんですよねこれ。
土器っぽいものがレイアウトされている大森貝塚碑
二つの角?の間のあたりから貝塚が発見されたらしい。大変申し訳ないが、公園内でも、発見しづらいスポット。
住所東京都品川区大井6-21-6 Googleマップ
開園時間7月・8月 :午前9時から午後6時
11月~2月 :午前9時から午後4時
その他の期間:午前9時から午後5時

14:45 | H:「社会科見学」お疲れ様会はこちら!飯田屋酒店で昼から一杯

今日もたくさん勉強&歩きました、ということで、お疲れ様会を開催。お店の入口はふつうの酒店だが、奥に進むとお洒落なカウンターが。ランチ時間帯は店頭に定食メニューの看板が出ており、定食を頼むなら昼でもアルコール注文OK、というシステム。いやいや、飲めればいいのですよ、とほくそ笑みながら、それぞれ定食メニューを注文。そして、定食が来る前にいそいそと冷蔵庫から瓶ビールを取り出し、まずは乾杯。くう~~~~!この一杯のために歩いてきたのだ!あっという間に二人で一本空ける。そしてホッピー白&レモンサワーをそれぞれお代わり。

定食のチーズメンチは中にとろーりチーズがとろけて美味。こちらをつまみにホッピー。くう~。もう一つはマグロねぎとろ丼。ねぎとろわさびをつまみにレモンサワーがぐんぐん進む。幸せすぎる。

ちなみに、夕方以降は「酒屋さんの立ち呑み処」角打ちを営業。店内の看板から、他の角打ちでは想像もできないレベルのおつまみメニューが用意されている様子が伺える。酒店なので当然酒の種類は充実。これは、夜にも再訪するしかない。

ランチは税込800円で定食を出している。定食を頼むなら、奥でアルコールOKだって。そうこなくちゃ!!
酒屋の奥はこんな感じ。ずらりと並んだ日本酒のメニューに、夜の角打ちの楽しさを想像するだけでヨダレが。
チーズ入りメンチカツ定食とホッピー白。グラスもキンミヤも、目の前の冷蔵庫から出したばかりでキンキンに冷えてる!
ちょっと光っていてすみません。夜の角打ちメニューの細かさをお分かりだろうか。つまみというより立派な料理がずらり。
住所東京都品川区東大井1-2-7 Googleマップ
TEL03-3474-7308
営業時間酒屋店舗:午前10時~午後11時
ランチ :午前11時半~午後1時半
立ち呑み:午後4時半~午後11時
定休日日曜・祝日
お散歩案内人プロフィール
街歩きを愛する夫婦

東京下町生まれの夫と、東京在住20年を超える妻。デート代節約のため散歩デートを繰り返すうちに、いつの間に街歩きマニアに。東京23区の散歩コース紹介サイト「明日どこいく?」運営。実際に歩いて作成した散歩コースは100以上。特に好きなジャンルは、御朱印・商店街・建築・庭園・食べ歩き。東京シティガイド検定ゴールドバッジ保有。

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